「2033年問題」って?

ここまで「全世界が同時に、ワンイシューを共有する」ことってあんまりないですよね。

今般のコロナウイルス以前には、他に何があったかなと考えて、

ひとつ私が思いつくのは「2000年問題」です。

2000年問題とは;

「西暦2000年にコンピュータの年号認識システムが混乱し、さまざまな影響が現れると懸念された問題。Y2Kとも呼ばれる。(中略)特に2000年1月1日以降、世界規模でコンピュータシステムに混乱が生じると思われたため、アメリカ合衆国を中心に国家プロジェクトとしてその対策がとられた。日本でも1990年代末から社会的・経済的にさまざまな事態が起こりうるとされた。2000年問題の対策費用は全世界で数百億ドルともいわれ、(中略)しかし、2000年問題の影響は微々たるもので、世界的に起こった問題はほとんどなかったといえる。」

(『ブリタニカ国際大百科事典』より引用)

 

 

2000年問題の当時、日本は小渕内閣の時代でしたね。

(当時のニュース映像)

 

 

それでは皆様、

「2033年問題」

という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?

 

 

今回はその「2033年問題」についてお話ししますね。

 

 

 

 

 

先に断っておきますと、「2033年問題」は、

新型コロナウイルスや、

2000年問題に比べると、深刻度はかなり低いです(笑)

 

 

しかもこれ、日本人だけの問題なんですよね。

 

 

 

さて、その「2033年問題」、

 

 

どんな問題か端的に言うと、

 

 

「六曜決められなくなっちゃうよ問題」

です。

 

 

「六曜って何?」

 

と思われる方もいらっしゃると思います。

 

六曜っていうのはこれです。

 

六曜の載ってるカレンダー

カレンダーに書いてある「大安」「仏滅」

これが六曜です。

 

 

ざっくりいうと、

旧暦をもとに毎日の吉凶を決める占い

のことです。

 

 

「結婚式は大安か友引にしよう」

「葬式は友引にするな」

 

…そんなことを一度は聞いたことある方も多いかと思います。

 

 

冠婚葬祭の日取りを考えるときに引き合いに出されるため、

 

日本人の生活にかなり密着した占いとなっていますね。

 

 

 

 

六曜とは;

「暦上の日を6種の吉凶日に分けたもので、中国に起源を発するといわれているが、明らかではない。旧暦の元旦を先勝とし、続いて友引、先負、仏滅、大安、赤口とし、繰返して日に割り当てた。」

(『ブリタニカ国際大百科事典』より引用)

 

 

上記の通り、この六曜は旧暦に基づいて決められてきたのです(ここでいう「旧暦」とは、1844年にできた天保暦が元となっています)。

 

 

 

しかし、2033年、

 

「旧暦が決められない」

 

という、前代未聞の事態が起こります。

 

 

つまり、

「2033年問題」とは、

「六曜決められなくなっちゃうよ問題」

であり、同時に

「旧暦決められなくなっちゃうよ問題」なのです。

 

 

 

「なぜ決められなくなるのか?」

「回避するにはどうしたら良いのか?」

 

のですが、下記リンクが詳しいので是非ご参照ください!

https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2014.html

(国立天文台「旧暦2033年問題について」)

 

https://mainichi.jp/articles/20170108/mul/00m/040/00600sc

(毎日新聞 「漫画で解説 旧暦2033年問題の巻」)

2033年の旧暦3案

回避方法には上記の通り3案あるそうですが(上記国立天文台HPより引用)、

 

 

そもそもこの旧暦自体、

1873年に廃止された暦法なので….

 

 

旧暦を決める公的な機関なんてどこにもない

のですよね(笑)

 

 

そして当たり前ですが、この六曜の吉凶、

 

何の根拠もありません(笑)

 

 

 

個人的には、2033年問題を契機に、

六曜はもうなくなっても良いのではないかと思ってます。

 

というか、むしろ今すぐなくなってもいいのでは、ぐらいに考えています。

 

 

なぜかというと、六曜に根拠がないのというのも勿論、

そもそも、

吉凶って、その日を生きるその人の心がけ次第だと思う

からです。

 

 

まごころでお祝いするのであれば、仏滅や赤口に結婚式をしても吉日

まごころで弔うのでれば、友引にお葬式をしても吉日

 

だと私は思います。

 

「善は急げ」で、

善いことは先送りにするべきでないと思うのです。

 

 

下記に引用する通り、親鸞聖人も和讃のなかで、吉凶を信じる人々を憂えてこう詠ったそうです。

こうした迷信は親鸞聖人の生きた時代にも色濃く残っていたようです。聖人は迷信に惑う人々を憂い

かなしきかなや道俗の 良時吉日(きちにち)えらばしめ

天神地祇(てんじんじぎ)をあがめつつ

卜占祭祀(ぼくせんさいし)つとめとす

(愚禿悲歎述懐和讃第八首)

という和讃を残されています。 意訳しますと

「悲しいことに僧侶や民衆は、何をするにも日の良し悪しを気にして選んだり、

また天の神、地の神を崇めて、占いやまじないにいそしんでいる」

(真宗大谷派東本願寺真宗会館HPより引用)

親鸞聖人と真宗のおしえ

 

イベントごとの日取りを決めたりするのには便利という面があるのは、わかるのですがね…

 

伊藤博文も明治維新の折、

あらゆる吉凶を迷信として禁止するように動いていたそうなのですが、

何故かこの六曜だけは生き残ってしまい、

第二次世界大戦後の混迷の時代に、息を吹き返すように爆発的に流行

してしまったようで、その名残が今に続いてしまっているようです。

 

 

確認中なのですが、

第二次世界大戦時に、日本軍が攻勢を仕掛ける日取りも、

六曜で決めていたという話も聞いたことがあります。 

 

 

さてさて、2033年、六曜はどうなることやら…

 

神社本庁や日本仏教会が会議して決める?

 

 

もしそんな未来が実現したら、

 

お互いの教義と全く関係ない占いについて話し合うために、
宗教や宗派の垣根を超えた会議が開催される

という事になりますね。

 

もはや悲劇なのか喜劇なのかわかりませんね(笑)

 

 

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